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by choimaji
某国立大学・阿部研究室のブログ。ビジネスのコミュニケーションのことを、週1回ぐらい書きます。
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教養のための読書案内--国語系追加
(主にゼミ生向け)

 最近、ちくま文学の森シリーズを三冊ほど読みました(読んでいる途中)。金子光晴と開高健と折口信夫の三冊です。

 いやぁ、本当に上手くセレクトされています。いわゆる文学全集に載るような文学史的代表作というよりは、むしろまだ文庫化されていない(したがって世間一般には知られていない)ような作品も数多く載せられています。それと同時に、その作者のビギナー的な読者に対しても何を読めばよいか上手くセレクトされているように思います。

 たとえば、折口信夫の『古代研究』、学生時代にちょっと齧って興味が湧かないまま挫折してほっぽっていましたが、この文学の森では、古代研究に関する「追い書き」というのが入っていて、これが自身による解説であると同時に、なかなか文学としても味わい深いものになっています。『古代研究』本編をたくさん入れるのではなく、「追い書き」を入れることでビギナーにも読みやすくコンパクトにまとまっています。当然、代表作である「死者の書」も入っています。

 というわけで、ちくま文学の森シリーズ、全三十冊以上ありますが、全部を読書リスト入りにします。時間のある学生のうち、何冊か読んでおきたいですね。(小説は、若い時に読んでも、ピンとこないという説もありますが…)

 
教養のための読書案内--理数系追加
(主にゼミ生向け)

 角川ソフィア文庫のシリーズが読みやすく、入手しやすいので追加しておきます。

 追加するのは、

富田恭彦 『科学哲学者柏木達彦の多忙な夏』

小島寛之 『世界を読み解く数学入門』

の二冊ですが、それぞれ続編も出ているので、そちらでも良いかもしれません。因に、私は間違って後者の続編『無限を読み解く数学入門』を買ってしまいました。『世界…』より読みづらいかもしれません。

 あと、数学というよりビジネス全般ですが、

東谷暁 『ビジネス法則の落とし穴』(学研新書)

も面白かったです。

 ただ、著者の評価はあくまで著者個人のもので、学問的定説ではないので、テストの回答に使うとバツにされることもあります。
ジェームズ・スロウィッキー 『みんなの意見は案外正しい』
 2010年度の組織情報論、準教科書として

ジェームズ・スロウィッキー 『みんなの意見は案外正しい』(角川文庫)

を採用することになりそうです(後期までまだ時間があるので正式決定ではありませんが、今のところ有力候補です)。

 この本、今まで組織情報論で取り上げた、集団の意思決定の問題や、コラボレーションの問題やら、ちゃんと著者が学術論文に当たって、わかりやすく(私よりもわかりやすく?)解説してくれているのです。今まで教科書がなくて苦労しましたが、これなら安くて学生も購入しやすいし、私の授業とは関係のない章もありますが、そういう所も社会人としての教養としていずれは役に立つでしょう。
 
 それにしても、著者はジャーナリストのようですが、よくありがちな扇情的・感情的などこかのジャーナリストと比べると、よく勉強してますね。
ジェームズ・スロウィッキー 『みんなの意見は案外正しい』_a0047321_16443520.jpg

ファレルのコラボレーションの社会学
Farrell, M. Collaborative Circles, Chicago U.P.

の方は、先日グーグルで検索したところ、この分野の古典中の古典であるにもかかわらず、日本ではほとんど全く紹介されていないようですね(web上に載っていないだけかもしれませんが)。

 まぁ、こうした状況になっているのも、私の頑張りが足りないせい、というのも一因かもしれません。反省、反省。
ファレルのコラボレーションの社会学_a0047321_16301494.jpg

2010年度・組織情報論
 今年は、チーム作りとコラボレーションに焦点を当てて進めます。

 昨年も、

キース・ソーヤー 『凡才の集団は孤高の天才に勝る』(ダイヤモンド社)

Farrell, M. Collaborative Circles, Chicago U.P.

を取り上げましたが、今年はもっと中心的テーマに据えて勧めたいと思っています。

 ソーヤーの著作は、邦題がアレですが、社会心理学分野におけるコラボレーション研究のマイルストーンと言っても良いでしょう。ファレルの著作よりもビジネス寄りだし、何より邦訳もあるので取っ付きやすいと思います。
2010年度・組織情報論_a0047321_9441598.jpg